
昨年3月11日の東日本大震災によって日本は景気後退入りし、消費者支出は10年以上なかった水準にまで落ち込んだが、世界の高級ブランドの中には、2011年の日本での売上高が前年比10%以上増加したと最近発表したブランドもある。
しかし、輝くもの全てがダイヤモンドとは限らない。高級ブランドの仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンとPPRが発表した売上高には、円がユーロに対して7.7%高くなった影響が含まれている。
日本の売り上げ増加は歓迎されている。長年にわたって日本の売り上げの伸びが近隣の新興アジア諸国と比べると見劣りする状態が続いているためだ。しかし業界の観測筋は、長く停滞している日本の高級品市場が大きく復活するとは考えない方がよいとみている。
世界最大の高級品メーカー、LVMHは今月、昨年の日本の売上高が前年比10%増の19億7000万ユーロ(約2100億円)になったと発表した。同社はシャンペンのモエ・エ・シャンドンやファンションブランドのセリーヌを傘下に持つ。
しかし、為替の変動による影響を除外すると、違った様相が見えてくる。LVMHは、為替の変動がなく、買収や売却などの影響がないと仮定すると、日本の売り上げは1%減だったと述べている。昨年初め時点の相場は1ユーロが108円57銭だったが、12月末までには100円25銭まで下がった。
一方、グローバルな売り上げの観点からすると、日本は高級品メーカーにとってますます重要でなくなってきている。
LVMHの昨年の総売上高237億ユーロのうち、日本が占める比率はわずか8%で、日本を除くアジア諸国の27%を大きく下回っている。日本以外のアジア諸国では、高級品に対する需要が旺盛で、成長が見込める。5年前は、売り上げのうち日本が占める比率が13%、日本を除くアジア諸国が17%だった。
この変化は日本に展開する多くの高級ブランドで見受けられる。
コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーは日本の昨年の高級品市場の規模が185億ユーロだったと推測しているが、日本の高級品市場の売上高を押し上げたもう一つの要因は、大型の買収がまた目立つようになったことだ。
LVMHは昨年、イタリアの宝飾品ブランドのブルガリを43億ユーロで買収し、6月30日に会計上の統合を行った。ブルガリは日本での人気が高い。LVMHは通常ブランドごとの売り上げを公表しないが、LVMHの傘下に入る前の1年間のブルガリの日本の売り上げは約2億ユーロで、日本はブルガリにとって最大の市場となっていた。
この記事に対するLVMHのコメントは得られていない。
PPRも同じような状況だ。PPRはイヴ・サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ、それに主力のグッチといったブランドを擁している。同社は先週発表した決算の中で、昨年の日本の売り上げが12%増の9億8350万ユーロだったことを明らかにした。しかし、為替の変動や、買収や売却などの影響を除外すると、売り上げの伸びは5.6%にとどまった。スポーツウエアブランドのプーマを買収しレジャー・スポーツの分野に進出したことが売り上げを押し上げた。
PPRは昨年、イタリアの紳士服ブランド「ブリオーニ」と、米国のサーフィン・スケートボード・スノーボート向けウエアメーカー「ボルコム」を買収した。PPRの関係者はこの記事に対するコメントを控えた。
グッチの売り上げ31億4000万ユーロのうち日本の占める比率は12%であるのに対し、日本以外のアジア諸国は37%で、LVMHのパターンと同様だった。2006年時点の日本の比率は19%、日本を除くアジア諸国は22%だった。
日本市場は他のアジア諸国ほど期待が持てない状況が続きそうだ。
まず1つに、日銀は日本のGDP(国内総生産)見通しを下方修正した。為替の問題もある。為替について見極めるのは時期尚早だが、エコノミストの間には、日銀が先週、金融緩和政策を打ち出し、明確なインフレ目標を掲げるという予想外の行動に出たことが、日本の円高を阻止しようとする試みの転換点になるかもしれないと見る向きがある。
わずか1週間の間に、ユーロは円に対して上昇し、1ユーロ=105円を超えた。これは東京にある欧州ブランド高級店で購入されたハンドバッグや財布の売り上げがユーロに換算されると目減りすることを意味する。



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